これから大学生の子供を一人暮らしさせる親御さんに知っておいてほしい事

息子二人の下宿生活は、母の私には理解できないような事が多々ありました。これがイマドキの若者なのか…と受け入れなくてはと思い続けた6年間でした。

 

親が知るのはほんの一部のこと、もっと多くの体験をし、なんとか自力で解決してきたことを思うと、間もなく卒業を迎えられることに感慨深い思いがあります。

 

今回は私の体験した『大学生の不思議あるある』と、困った3大案件、お恥ずかしい体験を少しご紹介したいと思います。

 

大学生の一人暮らし「あるある」

大学生の一人暮らは謎のものが増える

下宿生は友人の部屋を頻繁に行き来しますが、何故か持ち込んだものを持ってかえらないのです。

 

例えば、コミック本全30巻。

 

次男いわく、友人が少しずつ次男宅に持ってきて一緒に読み、『ここにきて読むから置いといて〜』と言っているそうで、かれこれ3年間、次男の本棚を占領しています(笑)。

 

バケツ、クーラーボックス、服、忘れていくのか置いていくのか、長期間放置されるいろんなものを見つけました。

 

大学生の一人暮らしは何故か物がなくなる

 

逆に先日は次男宅で、鍋がないのに気づきました。やはり集まる時に友人宅に持っていったそうで置いてきたといい、フライパンでパスタをゆでていました。

 

「持ってかえっておいで!」と現在言い続けています。

 

一番驚いたのは長男宅の掃除機…。なくなったというのです。

 

どうやってなくすのでしょうか。未だにわかりません。

 

大学生の一人暮らしの自転車トラブル

 

大学生、とくに下宿生は大学、サークル、アルバイトなど、どこへでも自転車で移動します。足となる自転車にまつわるトラブルは避けて通れないでしょう。

 

まず違法駐輪による撤去。

 

聞いただけでも兄弟二人とも、何度遠くの「撤去自転車預かり所」に受取に行ったことか。

 

取りに行くときは公共の交通手段を使っていきますが、帰りはその遠い距離を1時間以上かけて自転車で帰らねばなりませんから、さすがに懲りて最近は置かせてもらえるところをみつけたようです。

 

次に、使う頻度が高いうえに使い方・載り方も激しく酷使するため、パンク・故障は度々です。

 

前かごなど平行四辺形以上にひん曲がり、荷物は載せられるものではありませんでした。

 

チェーンが外れた時の対処など自分でできなくてはもはや乗りこなせないでしょう。

 

近くに行きつけの自転車屋さんをみつけておくのは必須でしょう。因みに息子達、それぞれ2年で1台つぶしております。

 

度重なるスマホのトラブル

 

今や生活になくては困るスマホ。端末が少々破損してもそのまま使う学生が多いと聞いています。それは金額面だけでなく、片時も離せないために使える限りは、我慢するのだとか。

 

画面がバッキバキに割れたまま使用しているのは男子だけではないそうですよ。

 

軽い破損ならそれでよいのですが、修復不可能となったのか失くしたのか、息子達から数回「スマホがダメになった」という連絡を受けました。

 

安心サポートには必ず入っておきましょう

 

未成年で親名義の間はパスワードやら本人確認やら、親のほうもいろいろ駆り出されましたが、成人して名義を本人に変更後は全て本人ができるので、楽にはなりました。

 

私が頭を抱えた大学生の一人暮らしの「3大案件」

上記にあげた「大学生あるある」はまだまだ笑って済ませられるもの。

 

私がこの6年で頭を抱えストレスを感じ続けた3大案件は

家賃問題
ゴミ問題
宅配・郵便物問題

です。

 

大学生の一人暮らしの家賃問題

家賃問題は既出の記事でも書きましたが、本人が直接大家さんに払いにいかなくてはならない物件なのに、長男が払いに行かないという件です。

 

失敗しない一人暮らしの部屋探し

 

寛大な大家さんであったので何か月もためこみ、離れてくらす親としては、払ったのか払えてないのか、何か月ためこんでいるのか、だんだんわからなくなってしまうのでした。

 

これに関しては平日夜遅くの帰宅で払いにいけないとしても、休日に何度も足を運ぶことを長男が怠っているのだろうと思い、何度もうるさく言ってきました。

 

ですが今年の8月の終わりに長男宅を訪れた際、再三再四大家さん宅に払いに行かせるも、お留守が続いて払えないことを目撃しました。

 

面倒くさがりな長男を責め続けてきましたが、彼の言っていたことはまんざら嘘ではなかったことを今更ながらに知り、それならば半年分前払いを相談するなど、もう少しお互いのストレスが溜まらない方法を相談してみるべきだったと、後悔しています。

 

次男の部屋のような、口座引き落としの物件なら親のストレスがたまらず、なんの問題のないのですが。

 

大学生の一人暮らしのゴミ問題

 

こちらもすでに書きましたが、息子達の部屋へいくたびに驚かされるゴミ問題。

 

決められた集配の時間に出せないため、部屋の中のゴミ袋の占める割合が非常に高いのです。

 

当初、大量の2Lのペットボトル、しかも全て半分飲みかけのものが部屋に散乱しているのが不思議でしょうがなかったのですが、聞くと「俺のじゃないんさ〜」と言いました。

 

部屋に遊びに来る友人が何人も、みんなで飲もうと持ってきてくれ飲みきることなく置いていってくれるとか。もったいないやら悪いやら、面倒やらで中身を捨てそびれ、そのまま放置となるようでした。

 

面倒がってまとめない次男が悪いのですが、出しそびれるゴミ問題は敷地内にいつでもだせる、「敷地内ゴミ置き場」があると解決しますのでおすすめします。

 

そして、3つめの宅配・郵便物問題とは…。

 

大学生の一人暮らしの宅配便にまつわる話

 

子供が一人暮らしを始めたら、食材や飲料などを送ってやりたいと考えていらっしゃるお母様は多いと思います。

 

実際長男が下宿しだしたころは何度か送っていましたが、いくつかの悲しい出来事(笑)のため宅配便で送ることはあきらめました。その出来事とは…。

 

(因みに息子達はよく話もしてくれる、決して反抗的な息子達ではありませんよ。)

 

1か月開封されませんでした。。

下宿し始めて最初の誕生日に、練習用テニスウエアをプレゼントとしてラッピングし、ちょうどいい大きさの「安曇野の水」と書かれた段ボールに梱包して送りました。

 

反応ないなあ〜と思いながら1か月後訪問した際、開封されていない箱を見て愕然として「あれ?開けてないの?」と聞くと

 

「だって水は日持ちするやろ?」という答えが返ってきました!?

 

「誰が誕生日プレゼントに水送るねん!!開封くらいしろ!!」と心の中で叫びましたわ!

 

まだこれは笑い話ですみますが、だんだん笑えなくなることが…。

 

タイミングが合わなければ邪魔なものになってしまうらしい…

息子は、我が家からは車で2時間の距離、しかも祖父母宅の近くに下宿していたためこちらから出向くことが多くありました。

 

その時に宅配便にまつわる驚愕の事実をいろいろと知ってしまいました。そしてこの事実は我が家だけでなく、多くの家庭がそうでした。それは…。

 

小腹がすいたとき時や、朝時間が無いときにつまめるように送った、少し日持ちのするマドレーヌやバウムクーヘンなどの焼き菓子が、2か月後にそっくりそのまま残っていたり、下手すれば踏みつぶされていたり。

 

最初はたまたま食べそびれたのかなと思っていましたが、その後何度も「送ったもの、持っていったもの」の多くが放置されていることに気付きました。

 

「うちはそんなことないよ、ちゃんと喜んで食べているよ〜」と言っていた私の友人は、子供が卒業で部屋を退去する際、過去に送ったものを天袋から大量に発見したそうです。

 

いつのころからか、結婚式の引き出物が「選べるカタログ」に変わってきました。

 

これには「どんなにいい品物でも、全ての人が喜ぶとは限らない、人によって嗜好・必要なものが違う」という考えが根底にあります。

 

親元を離れ一人暮らしをしている子供達は、親の知らない交友関係で親の知らないスケジュールで動いています。

 

親から送られてきたものも、有り難いとは思ってくれているようですが、それが必要な時に届くとも限らない、また親が思う「あると便利なもの」が、子供にとって便利なものとは限らないということが、だんだんわかっていきました。

 

引き出物と同じなのです。

 

たとえ好物であっても、食べるタイミングが無いうちに賞味期限が過ぎていくことも多いのです。

 

私達母親でも人から、「便利でおいしいから使ってみて〜」と珍しい調味料をいただいても、うまく使いこなせなかったことが、誰でも一度くらいあると思います。

 

そのことを思い出して、送って放置されたものを見てもだんだん納得できるようになりました。

 

一人暮らしだと受け取ってもらうのに一苦労

そもそも昼間は大学の授業で、そのまま放課後はアルバイトかサークル活動で夜遅くに帰宅するため、平日は受け取れませんでした。

 

都合を聞いて土日などに配達指定をするも、忘れたり・友達に誘われればほいほい出かけてしまって、結局不在票を郵便受けに入れてもらうことになるのです。

 

クール宅急便などもってのほかです。

 

さらに日頃から郵便受けを見る習慣がないため、あふれかえったチラシや宅配ピザのチラシに不在票が紛れ、こちらからしつこく連絡しないと発見されないという始末。

 

あるとき、実家に忘れていったメガネを送るとき、受取印のいる宅配便は無理だと悟り、普通郵便で送りました。

 

ポストにさえ入れば多少発見が遅れてもいいかと思い、本人にもライン連絡を入れました。が…。

 

数日ラインに既読がつかない、電話も出ない、1週間後に連絡がついたときには、運悪くメガネはほんの少しの厚みでポストに入らず持ち帰られ、不在票が入っていたことを知りました。

 

「郵便局に連絡入れて受けとってね」と話をつけ、やっとほっとしてから約2週間後、実家のポストに、受けとられることなく送り返されてきたメガネを発見したのでした。

 

このときの脱力感、想像していただけるでしょうか?

 

ポストに入らないものを送ることをあきらめた、一番大きな原因だったかもしれません。

 

女子や子供の性格によっては問題なく受け取られているケースはもちろん多くあるはずです。

 

ですが宅配便が受け取られることなく送り返されるという経験は、男の子の親は何人か経験しています。

 

一人暮らしの宅配便の解決策

我が家の場合、宅配便をあきらめても持って行ける距離にありますが、どうしても宅配を利用しなければいけない方も多いと思います。

 

宅配ボックス付きの物件を選ぶ

そんな方は住居選びの際に、宅配ボックス付き物件を選んだほうがいいでしょう。

 

比較的新しい物件なら設けられていますが、新しいということで家賃は高めになるかもしれません。ですが宅配にまつわる親のストレスはゼロになるでしょう。

 

(因みに息子のマンションは宅配ボックスがついているのですが、なんと壊れているそうです。←意味がありませんよね?)

 

必ず子供の都合を聞く

最低限、いつ受け取れるか都合を聞いてから手配しましょう。

 

このやりとりの時点で、子供がつかまらない・連絡が取れない・スムーズにいかないという場合は、宅配便の受取に関しては覚悟しておいたほうがいいかもしれません。

 

郵便局留めやコンビニ受取・宅配営業所受取など、方法はいくつかありますが、多くの学生は自転車や徒歩での受取ですので、大きなもの、重いものは無理でしょう。

 

私もこの方法は使いませんでした。なぜならいったい何日放置されるやら。また結局子供達が受取にいくまで結局やきもきすることに変わりはない、と思ったからです。

 

レターパックライトを利用する

A4サイズ・厚さ3p以内に収めれば、郵便局のレターパックライトが使えます。350円で受取印なしでポスティングされますので、我が家はこれを使うことが多くなりました。

 

レターパックライト

 

何年か経験してきて思うことは、子供が送ってほしいと要望してきたものを送る、というスタンスがベストということです。

 

忙しい中でも自分でネット注文したテニスのラケットやゲーム機器などは、どうにかして受け取っているところを見ると、子供にとって親からの宅配便の受取は優先度が低いのかもしれません。

 

少しでも金銭的・時間的に楽になるといいかな〜という親の思いは宅配便では伝わらなかったように思います。

 

子供側としては受取が面倒、段ボールの処理に困るなど、デメリットもあるようですよ。(友人は邪魔やから段ボール取りに来て〜と言われたそうです。)

 

そんな中でも間違いなく喜んだものもあります。(我が家の場合は持っていったものです)

  • お米
  • パスタ+パスタソース
  • スポーツドリンクや野菜ジュース
  • ドリンク剤
  • くつ&靴下&サンダル

など。日持ちがして必ず消費するものは使っているようでした。

 

大学生の一人暮らしは部屋鍵の扱いに要注意!

 

一人暮らしでもし鍵を紛失した場合、子供はどう行動すればいいか、またそれに備えてしておくことはあるか、我が家の体験を書いてみます。

 

当時18歳だった長男が鍵を落としてしまって部屋に入れなかった時、彼が考えた解決策は、

大家さんか管理会社に連絡をして開けてもらう
マスターキーで合鍵を作ってもらう、2,000円くらい?
警察に遺失物の届をする

なんとか自分で解決して親にはばれたくない…と思ったことでしょう。

 

ところが18歳の彼はこの3つ全てで壁にぶち当たったのでした。

 

部屋のサポートの書類はコピーをとって実家でも保管する!

自力で解決したかった長男でしたが、鍵を失くしているのでまず部屋に入れなかったのです。

 

ですからファイリングしてあった書類を見ることができず、そこで恐らく仕方なく深夜に実家に電話してきたのでしょう、「大家さんか管理会社の電話番号教えて」と。

 

部屋の契約関係、サポートサービスや保険関係の書類はコピーをとって実家でも保管しておくことをおすすめします。

 

サポートサービスの番号を手帳やスマホに記録しておくのも1つの方法です。

 

紛失の場合の鍵交換費用は1.5〜2万円

一月下旬、厳冬の京都で深夜に部屋に入れない長男を待たせて、慌てて私はサポートサービスのコピーに目を通すと、目に飛び込んできた文字は

 

「紛失の場合鍵穴ごとの交換となり、1.5〜2万円の自己負担…」。

 

24時間サポート体制だから夜中でも開けてもらえる…という彼の安易な考えでしたが、この文面を伝えると、さすがに絶句しておりました。2,000円〜3,000円くらいの鍵代で済むくらいに思っていたでしょうから。

 

長男が、世の中そんなに甘くないと感じた最初の出来事だったかもしれません。

 

幸いにも祖父母宅が自転車で30分のところにあり、サポートの対応を待つより早く思えたのでその日はそちらに行かせ対策を練ることにしたのでした。

 

因みに最近の鍵は「ディンプルキー」というピッキング対策に作られた防犯性の高い鍵で、合鍵作成が困難といわれている鍵が主流となっています。

 

入居の際に2つもらえ、1つは親が持っていたのでそれを祖父母宅に郵送で送りしばらくはそれを使わせ、その間に鍵を捜そうということになりました。

 

鍵番号は控えておくとGOOD!

翌日長男から詳しく話を聞くと、落としたと思われるのは下宿から100km遠く離れた六甲山山頂だろうというではありませんか!

 

電話で各所に問い合わせた所、付近の警察署でそれらしきものが届いていることを母の私がつきとめました。

 

実は本人も問い合わせていたのですが、落とした鍵の特徴をうまく伝えられず届いていることを教えてもらえなかったのです。

 

直後に問い合わせた私に教えてもらえたのは、キーケースのブランドと特徴が言えたことが決め手となりました。

 

このとき私の持っていた合鍵番号と照合できればその電話で確定となったのですが、合鍵はすでに長男に送った後でしたので、合鍵を受け取った長男本人との番号照合で確定となりました。

 

万が一、落としたときの為に鍵番号を控えておくと、警察での本人確定がスムーズにいくようですよ。

 

参考までに、警察に届けられた拾得物は以下のページで検索できます。反映までに時間がかかるのでお急ぎの場合は役に立ちませんが。

 

落とし物検索

 

さて、長らく書いてきた大学生の一人暮らしについての記事を締めくくるにあたって、私がこの6年間で痛烈に感じた1つのことを書きたいと思います。

 

一人暮らしさせる場合は子供との適度な距離感をたもつ

 

突然抽象的な子育て論のような話ですが、この「適度な距離感を保つ」ということが最も重要なことと感じています。

 

過干渉には大反対ですが、放置はもっと危険なことです。

 

当たり前と思われるかもしれませんが、離れて自由に住みだすと特に向こうから何も言ってこなければ、関わりなく過ごそうと思えば過ごせるのです。

 

そして20歳をすぎた頃、親の知らない間に大学を辞めていたり、辞めたうえに行方がわからなくなったりしたケースが少なからずあるのです。20歳という年齢になれば、借金だってできるのです。

 

子供と会話できる機会を作る

11月頃になると、大学では専攻を決める時期。

 

やりたいことがあって選んだ学部でないなら、もしかして進路に悩むかもしれません。

 

そんな時に相談に乗れる関係であればよいと思うのです。

 

成長に伴い、状況も変化していきますので、その変化に対応していけるようアンテナは張っておくべきです。

 

知人のご子息は、A大学に通われていましたが、B大学を受験するためにいつのまにか辞めていて予備校に通っていました。

 

別のお嬢さんも知らぬ間に専門学校に変わっていたそうです。自分で選んで決めた道なら反対はしないけれど、相談はしてほしかったと母達は口を揃えて話されていました。

 

そしてもう一人の男の子は、大学に行かなくなり単位も取れなくなった事を親にも言えず、下宿を引き払って姿を消してしまいました。

 

数か月の捜索の末、北海道でアルバイト生活をしているところを無事発見されましたが。

 

なんだかんだと頼ってくる子供はまだいいのですが、叱られたくない、心配かけたくないという思いの強い子供は特に母親には隠したがります。

 

その子供の悩み・迷いを遠くにいながら感じ取るには、やはり会話が必要です。

 

家族でのLINEグループを作ることはささやかな手段かもしれません。返信がなくても気配だけでも感じることができますから。

 

我が家の長男の危機

かくいう我が家の長男も、そんな危機がありました。

 

2回生の頃まだまだ大学は忙しくはなく、サークルの幹部と塾講師に燃えていました。そのため部屋はぐちゃぐちゃで、少しでも助けてやろうとしていたのですが、やはり小言の1つや2つは出てしまいます。

 

そのうち、そんな小言が嫌になってきたのか、片付けてもらうことに悪いと思うようになったのか、自分できちんと片づけするからと断固言い張り、親を部屋に入れたがらなくなりました。

 

それでも3回生になる前には大学に近い物件を自分でみつけて、友人の助けを借り自力で引っ越しまで済ませました。

 

引っ越し後の片付いた綺麗な部屋に招かれ、成長したなぁと安心してしまったのでした。

 

長男の異変

異変に気付いたのはそれから1年近くたった3回生が終わる頃。

 

ちょうど次男の受験が終わって長男と同じ大学にいくことが決まったため、引っ越し準備で長男の部屋にも寄る機会ができました。

 

長男は友人とオーストラリア旅行で留守でしたが、事前に本人の許可を得て部屋に入ると…。

 

あら、意外ときれい。相変わらずカーテンは引いたままの薄暗い部屋でしたが。

 

布団でも干そうとカーテンを開けると…。

 

1.5間ほどの狭いベランダに、瓶・缶・ペットボトルを入れたゴミ袋がぎっしり8袋!?

 

あの衝撃を今でも忘れません。

 

これでは布団が干せないので、風呂場に移そうと風呂場の扉をあけると、浴槽の中にもぎっしり4袋!? なぜ捨てない??

 

次に手を洗おうとしたらお湯が出ない!?

 

そこで溢れかえっている郵便受けに気づいて調べると、ガス料金未納の督促状数通、新聞代の督促状、そしてガス供給停止の通知を発見したのでした。

 

さらに長男の所属するサークルに体験入部していた次男がそこで聞いてきたことは、「兄貴、4回生にあがれないらしい…」。

 

一体長男の身に何が起きていたのか、この状況にわなわな震えるも当の本人はオーストラリア旅行中!?

 

長男の異変に気づけなかった半年

2回生までと違って3回生ともなると専門の授業も始まり忙しくなったのにも関わらず、準備に時間のかかる塾講師のアルバイトを続け、大好きなサークルにも顔を出し、どんどん家事や自宅での勉強時間が削られていったのでしょう。

 

さらに後半は大学の忙しさのため、アルバイトも減らさざるを得なくなり収入も減っていたようです。

 

それでもお盆に顔を出した時には異変はなかったので、それから半年で激変してしまったことになるのですが、まさにその半年というのが、私が次男の受験に集中していた時にあたるのです。

 

保っていた距離感が遠くなってしまった時期なのです。

 

ガス代は口座引き落としだったはず・・

当時、口座引き落としだったはずなのにガスがなぜ止められたか、すぐには理解できませんでした。引っ越しても電気はなんの手続きもなく口座引き落としで引き継げたのに。

 

そこで調べたところ、同一市内での引っ越しの場合、電気は電話1本でOKなのですが、ガスは止栓と、新しい住まいでの立会開栓が必要でした。

 

その後、電話連絡することによって引き続いて同一口座からの引き落としが可能だったのに、長男はその連絡をしなかったのです。

 

それで毎月請求書が届いて振込にいくという方式に代わってしまっていたのですが、親のほうでもガス代が引かれなくなっていたことに気づかなかったのでした。

 

一から再出発させることで解決

この凄まじい状態と留年かという事実を突き付けられたときに、私におこった感情は怒りではありませんでした。

 

この状態はもはや自分ではどうしようもなくなってしまって助けを呼ぶ状態に見えたのです。助けなくてはという思いしか出てきませんでした。

 

新聞代、ガス代、家賃、全てを解決して本人の帰国を待ち、じっくり穏やかに話し合いました。

 

好きなことだけをがんばり続け、やらなくてはいけないことを放置した結果、もはやどうすることもできない事態を招いてしまっていたのです。

 

とにかく生活を立て直して、一から再出発させることが大事と考えました。

 

手を出し過ぎること、過保護は決してよくありません。ですが手を出してでも解決しなければいけないときもあります。

 

本人が悪いことが多いのですが、アルバイト収入が減ったことと、ガス代が引き落とされなくなっていたことに気づかなかった親のほうにも非はあると思いました。

 

もし次男が他の大学へ行くことになっていれば、この長男の状態の発見はさらに遅れていました。

 

そうすれば親に心配をかけまいとしようとしがちな長男はどんな行動をとっていたでしょうか。

 

プライドの高い彼の性格を考えると自分からは言えず、借金に手を出していたり、姿を消していたかもしれないと思いました。

 

幸いにも研究をしながら落とした単位を取ることを条件に4回生に進級することができ、留年も免れ、来春には大学院卒業予定となりました。

 

最後に

大学生の間に子供は20歳の成人式を迎えます。

 

親としてはこれまでのような子供扱いではなく、一人の大人として扱わなくてはいけません。

 

反面、正直にいうと、ガス会社に電話1本かけられない、パスポート取得の際の書類は不備だらけ、怪我の通院後に保険請求させれば8か月もかかる…、そのほかこんなこともできないのかと思うことも多々あるのが現実です。

 

まだまだ影なる支えを必要としています。

 

親が期待するほど大きな成長はみられないかもしれませんが、緩やかに確実に大人になっているはずです。

 

これまで何もしてこなかった子供が、一人で住み、勉強し、働き、食べているのです。それだけでも大きな成長と思いましょう。

 

子供は一番親に認められたいと思っています。

 

我が家のようなダメダメ息子でも、頭ごなしに叱ることをやめ大人として扱うことを心掛けてから、明らかに素直になりました。

 

離れていてもアンテナを張って少しのSOSを見逃さずにいれる、適度な距離感を保つこと、これが私が6年の間に最も大切と感じたことです。

 

寂しく思った息子の一人暮らしですが、恐らく同居しているより盛りだくさんな6年となりました。

 

何よりもこれだけの体験(親の知らないところではもっと多くの困難があったでしょう)を乗り越えてきたことは、これからの人生で大きな糧となるはず。

 

つくづく一人暮らしさせてよかったと思っています。